2025年5月、是枝裕和監督がiPhone 16 Proを用いて全編撮影した短編映画『ラストシーン』が公開されましたね!主人公の倉田役を仲野太賀さん、未来からやってきた孫娘役を由比福地桃子さんが熱演しています。
皆さんはもうご覧になりましたか?
たまたま著者も今日YouTubeを見ようとしたところ、Appleのスポンサー広告がでていたので、速攻でクリックしてしまいました。『ラストシーン』は、Apple Japanの公式YouTubeチャンネルやApple TVアプリで無料で視聴可能となっているので嬉しい限りです。
本作は、鎌倉を舞台にしたタイムトラベル・ラブストーリーであり、未来に何が残り、何が消えるのかをテーマにしています。この記事では、『ラストシーン』のラストシーンに焦点を当て、作品の魅力とその考察を深掘りしていきます。
著者が一番記憶に残ったセリフで、
「なにか失わないと、何かを手にできないから・・」
思わず涙腺が😭
この記事には少しネタバレの考察がありますので、皆さん必ず先に本編(約28分)↓をご覧になってください!
出典:Apple Japan出典:
〓記事のポイント
- 是枝監督の作品紹介
- 是枝裕和監督の新たな挑戦
- ラストシーンの象徴性
- テクノロジーと人間性の融合
- 主題歌「まじで、サヨナラべぃべぃ」の役割
是枝裕和監督の作品の紹介と特徴
是枝監督作品は著者もほとんど観ていますが、代表作は以下のとおりです。
著者が個人的に特に好きなのは、「万引き家族」「怪物」で、前者は安藤サクラさんの演技に圧倒されす😳、後者は物語結末の解釈で頭がフル回転した記憶があります😁
公開年 | タイトル | 主な出演者 | 受賞歴・注目ポイント |
---|---|---|---|
1995年 | 幻の光 | 江角マキコ | ベネチア国際映画祭 金のオゼッラ賞 受賞 |
1998年 | ワンダフルライフ | ARATA(井浦新) | ロカルノ映画祭などで高評価 |
2001年 | ディスタンス | ARATA、浅野忠信 | カンヌ映画祭 コンペティション部門出品 |
2004年 | 誰も知らない | 柳楽優弥 | カンヌ国際映画祭 最優秀男優賞(柳楽) |
2008年 | 歩いても 歩いても | 阿部寛、樹木希林 | リアルな家族の日常を描いた名作 |
2011年 | 奇跡 | 前田航基・前田旺志郎 | 子ども視点の瑞々しい物語 |
2013年 | そして父になる | 福山雅治、尾野真千子 | カンヌ審査員賞受賞・国内外でヒット |
2015年 | 海街diary | 綾瀬はるか、長澤まさみ | 鎌倉の四姉妹を描く繊細な作品 |
2016年 | 海よりもまだ深く | 阿部寛、樹木希林 | 夢を追えなかった大人の切なさ |
2018年 | 万引き家族 | リリー・フランキー、安藤サクラ | カンヌ最高賞 パルム・ドール受賞 |
2019年 | 真実(La Vérité) | カトリーヌ・ドヌーヴ、ジュリエット・ビノシュ | フランス初制作作品 |
2022年 | ベイビー・ブローカー | ソン・ガンホ、IU | 韓国で撮影 カンヌ主演男優賞(ソン・ガンホ) |
2023年 | 怪物 | 安藤サクラ、永山瑛太、黒川想矢 | カンヌ脚本賞(坂元裕二)受賞・是枝が監督 |
著者は、是枝監督の作品は、「家族とは何か?」というテーマを一貫して描いているように感じます。
血縁関係ではなく、共に過ごす時間や感情の共有に重きを置く姿勢も特徴です。
そこには、是枝監督の家族をめぐる問いかけがあるように感じます。例えば「万引き家族」では血のつながりがない人々の疑似家族を描写しており、ユーモアとシリアスが混在する内容となっていました。
また、『誰も知らない』『奇跡』『怪物』など、子どもを中心にした作品が多く、彼らの繊細な感情や行動をリアルに描いています。特に『怪物』には成長期の子どもの心と身体の変化も描かれており、子どもの視点を大切にする姿勢を感じます。
是枝監督はもともとテレビのドキュメンタリー番組(NHK『NONFIX』など)の出身の方のようなので、リアルな演出、自然な会話、即興的な演技を重視しているようです。各作品の名演技もここから生まれてきているのでしょうかね?撮影時にはセリフ(台本)を渡さず、俳優がその場で反応するように演出することもあるようなので、俳優さんも大変だと思いますが。。
またドラマチックな展開よりも、日常の静かな場面、間(ま)、空気感に重きを置くようで、長回しのカメラ、引きの画、無音の使い方が上手く、感情を観客に委ねるスタイルのようです。静けさと余白を活かす演出が特徴とも言えますね。
社会的な問題意識を投げかける作品もあり、現代社会のひずみや矛盾(貧困、児童虐待、格差、血縁主義など)を作品に織り込みながらも、説教くさくせず、観る者に考えさせる形で提示しています。
日本の多くの監督の中でも是枝監督は、アジアやヨーロッパで非常に高い評価を受けています。
特にカンヌ映画祭では常連であり、日本映画界で黒澤明以来の世界的存在と見なされることもありますね。
是枝裕和監督の新たな挑戦
【iPhone 16 Proで撮影 | ラストシーンの舞台裏 | Apple】のメイキングもYouTubeにアップされています!
出典:Apple Japan
是枝裕和監督は、Appleの「Shot on iPhone」キャンペーンの一環として、iPhone 16 Proを用いて全編を撮影するという新たな試みに挑戦しました。この選択は、テクノロジーの進化と映画制作の可能性を探る意図があったようです。
撮影監督には、是枝作品でおなじみの瀧本幹也氏が起用されました。
彼の豊富なカメラ知識と新しいことへの挑戦心が、iPhoneでの撮影においても高いクオリティを実現しています。
メイキングの中にはiPhone 16 Proの「シネマティックモード」「アクションモード」「写真」についても語られています。
特に是枝監督は本作品で「アクションモード」で速いスピードで走りながら撮影したシーンについて、通常の映画ならすごい機材が必要で費用もかかるところ、「手持ち」でいけてしまうことにショックを受けた、と語っています。
物語の舞台には、自然豊かな鎌倉が選ばれました。これは、日常生活の中にあるつかの間の瞬間や、当たり前だと思っている大切なものを描くための最適な場所として選定されました。
本作品はそんな日常の「小さな選択」「責任感」「冒険心」によって、どんな未来が作られていくるのか?観ている側も色々考えさせられる内容となっています。
ラストシーンの象徴性
物語のクライマックスで登場する観覧車のシーンは、時間の流れや人生の循環を象徴しています。
高所からの眺めは、登場人物たちの視野の広がりや未来への希望を示唆しているように感じられます。
夕日の沈むシーンで、冒頭で書きました
「なにか失わないと、何かを手にできないから・・」
「残したいな・・未来にも」
「何を?」
「観覧車さ」
心に刺さりました😭
このショートムービーでは、50年後の未来からやってきた孫娘・由比の存在は、過去と未来をつなぐ架け橋として機能しています。彼女の登場により、主人公・倉田は自身の選択と向き合い、未来を変える決意を固めます。
最終的に、倉田が新たな脚本を完成させることで、未来が変わる兆しが描かれます。
この結末は、視聴者に対して「未来に何が残り、何が消えるのか」いろいろなメッセージを投げかけられています。
「新時代」のテクノロジーと人間性の融合
「新時代(未来)」のシーンで、リリー・フランキーさんがロボット化された姿で登場します。これは、テクノロジーの進化と人間の関係性を象徴的に描いているようです。
著者は『万引き家族』にでていたリリー・フランキーさんがチョイ役かつ二役でていたので嬉しかったです。短編映画なので主人公以外はだいたいはチョイ役ですが、それでも二役とうのが是枝監督の凄さなのかな?とも思います(笑)
作品内で描かれる未来の世界では、テクノロジーが日常生活に深く浸透しています。しかし、それによって失われるものや変化する価値観についても示唆されています。
ただし、テクノロジーが進化する中でも、人間らしさや感情の重要性が強調されています。
これは、未来においても変わらない普遍的な価値として描かれています。
主題歌「まじで、サヨナラべぃべぃ」の役割
本作の主題歌「まじで、サヨナラべぃべぃ」は、Vaundyが書き下ろした楽曲です。
タイムトラベルというテーマにインスピレーションを受けて制作されました。
出典;AOI Pro. 作品紹介ページ
楽曲の歌詞は、物語のテーマや登場人物の心情と密接にリンクしていて、
『これから君の生きる日々を彩っていくよ サヨナラべぃべぃ』
→このような主人公の心情を映す歌詞が、より深く物語に感情移入させてくれます。
主題歌は、作品全体の雰囲気を高め、感情の深みを加える役割も果たしています。
音楽と映像が一体となることで、この作品に対する強い印象を残します!
短編映画 ラストシーン last scene 考察 まとめ
2025年東京都内で行われた「プレミア試写会」のインタビュー(出展:moviecollectionjp)の様子が公開されています。是枝裕和監督、仲野太賀さん、福地桃子さん、リリーフランキーさん、黒田大輔さんが登壇されました。監督や演者さんがi-phoneでの撮影エピソードやこの作品への想いを語っていますので、こちらもご覧になると更にこの作品の魅了や面白さが伝わってくると思います。ぜひ見てください!
出展:moviecollectionjp
この記事のまとめ
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