黒潮大蛇行 終息?スルメイカが消えた!海の異変と日本の食卓への影響とは

common_squid 社会・生活

ここ数年、日本近海、特に北海道でで「スルメイカが獲れない」という声が漁業関係者から相次いでいます。その背後にあるのが、「黒潮大蛇行」と呼ばれる海流の異常です。この現象はただの自然変化ではなく、海の生態系、そして私たちの食卓にまで大きな影響を及ぼしています。

本記事では、黒潮大蛇行とは何か、なぜ起きるのか、そしてスルメイカとの関係や私たちへの影響までを、図表や具体的なデータを交えて、わかりやすく解説していきます。

〓記事のポイント

  • 黒潮大蛇行は黒潮の流れが異常に蛇行する現象
  • 発生時期と仕組みには自然現象が複雑に関係
  • スルメイカの不漁と直接関係している
  • 気象庁も注視する現象で最新データを公開中
  • 私たちの暮らしや価格にも影響が広がっている

黒潮大蛇行とは何か?その影響と仕組みを解説

  • 黒潮大蛇行とはどんな現象?
  • いつから始まった?黒潮大蛇行の最新状況
  • なぜ起こる?黒潮大蛇行の仕組みと原因
  • 黒潮大蛇行はいつまで続く?終息の見通し
  • 気象庁の観測データと黒潮の変化

黒潮大蛇行とはどんな現象

黒潮大蛇行とは、通常は日本列島沿いを流れる暖流「黒潮」が、大きく南へ蛇行して進む海流異常のことを指します。とくに紀伊半島沖から関東沖にかけての海域で大きくカーブを描くような流れになるのが特徴です。この蛇行によって、海水温や塩分濃度の分布が変わり、沿岸の漁場環境にも変化が生じます。

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※出典:ウェザーニュース

いつから始まった?黒潮大蛇行の最新状況ー終息の見通し

2023年後半から現在にかけて観測されている黒潮大蛇行は、2017年に始まった長期的な蛇行の再発とされています。気象庁の海洋観測によると、2024年春にも一時的に通常の流路に戻る兆しがありましたが、再び大蛇行が発生しました。

黒潮大蛇行がいつまで続くかは、現時点では明言できません。過去の例では1年程度で終息することもあれば、数年に及ぶこともあります。現在、2025年6月時点では蛇行状態が継続していますが、2025年6月収束の兆しが見え始めたようです!

【黒潮大蛇行の年別発生状況と期間】

発生年 終息年 継続期間(月)
2017年 2020年 約36ヶ月
2023年 継続中(2025年6月現在) 約18ヶ月~

なぜ起こる?黒潮大蛇行の仕組みと原因

この現象の原因はひとつではありません。代表的な要因として、以下のようなものが挙げられます。

  • 太平洋の気圧配置(特に北太平洋高気圧)
  • 偏西風の蛇行
  • 海底地形(海山など)との相互作用

これらの条件が複雑に絡み合うことで、黒潮の流れが南に膨らむように蛇行し、沿岸から離れたルートを取るようになるのです

気象庁の観測データと黒潮の変化

気象庁は衛星観測や海上ブイによるデータをもとに、黒潮の流路を定期的に発表しています。海水温や塩分濃度のデータも併せて確認することで、漁業関係者や研究者はスルメイカなどの生物の分布予測にも役立てています。

黒潮大蛇行とスルメイカの不漁の関係とは?

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※うーもカフェイメージ
  • スルメイカが獲れない!漁師たちの危機感
  • 夏に異変が多発?海水温の影響とイカの回遊ルート
  • スルメイカと海流の密接な関係
  • 黒潮大蛇行の影響を受けた過去の事例
  • 私たちにできること:海の異変への理解と備え

スルメイカが獲れない!漁師たちの危機感

スルメイカは日本の沿岸漁業にとって重要な水産資源のひとつですが、黒潮大蛇行の影響で漁獲量が激減しています。
2024年の漁獲量は、前年の約40%減(農林水産省調べ)と報告され、漁業関係者に深刻な打撃を与えました。特に青森、宮城、福井などの地域では「今年はまったく網にかからない」という声も上がっています。

夏に異変が多発?海水温の影響とイカの回遊ルート

スルメイカは水温が12~18℃の海域を好んで回遊します。黒潮大蛇行によって海水温が上昇し、スルメイカの好適環境が本来の日本海・太平洋岸から外れることで、イカが沿岸に近づかなくなっているのです。
夏の間、通常であれば北海道から関東・中部にかけてが主な漁場ですが、2024年夏は日本列島から大きく離れた東海上での発見例が相次ぎました。

一方で、


【黒潮大蛇行前後のスルメイカ回遊ルート比較】

時期 回遊ルート
通常年 日本海 → 山陰沖 → 三陸沖
黒潮大蛇行発生年 沖合遠方(日本列島から東南)

一方で、NHK首都圏ナビの調査によれば、東京都では2025年度の東京都の大型クロマグロの漁獲枠は3.3倍に、小型クロマグロも1.8倍に増える見込みです。これは、黒潮大蛇行の影響でクロマグロの回遊ルートが変わり、伊豆諸島付近に漁場が形成された影響のようです!北海道や青森県といった産地には遠く及びませんが、全国的にみても大きな増加幅です。

全国的に見て、黒潮大蛇行はスルメイカ漁だけでなく、全国各地の漁業に影響を与えているようです。

スルメイカと海流の密接な関係

スルメイカの分布は、海流によって決まるといっても過言ではありません。
とくに黒潮の北限が定まらないと、イカの回遊ルートも予測困難になります。
また、黒潮が蛇行することで、プランクトン分布が変化し、イカのエサとなる小魚の分布にも影響を及ぼすため、さらにイカの出現場所がズレてしまいます。

黒潮大蛇行の影響を受けた過去の事例

黒潮大蛇行によるスルメイカの不漁は、今回が初めてではありません。
たとえば2004~2006年にかけて大蛇行が発生した際にも、スルメイカの漁獲量は大幅に落ち込みました(当時の水産庁年報より)。
また、2017~2020年に発生した大蛇行でも同様の現象が確認されています。

私たちにできること:海の異変への理解と備え

黒潮大蛇行は自然現象の一部であり、完全に制御できるものではありません。しかし、消費者が「なぜイカが高くなっているのか」や、「なぜ国産イカが減っているのか」といった背景を理解することで、持続可能な水産資源への意識も高まります。また、代替品や冷凍保存の活用など、家庭での柔軟な工夫も大切です。

黒潮大蛇行でスルメイカが消えた?海の異変と日本の食卓への影響のまとめ

この記事のまとめ

  • 黒潮大蛇行とは海流が大きく蛇行する現象
  • 2017年、2023年に長期間継続した例がある
  • 原因は気圧配置や偏西風などの複合要因
  • スルメイカは水温変化に敏感な生き物
  • 黒潮の変化で回遊ルートがずれ、沿岸で獲れなくなる
  • 気象庁の観測により今後の予測も可能
  • 私たち消費者にも影響と理解が求められている

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